その1 からの続き
そんなこんなでマジックのことなどスッコリ忘れて幾年月。もともと音楽少年だった私は高校時代にもはや惰性だったピアノを辞め、いろいろな音楽をプレイすることを覚えてまさに最盛期ともいえるくらい音を鳴らしまくっていた頃、同じように最盛期を迎えていたのがトレーディングカードゲーム業界。
「お札刷ってるみたい!」とはだれが言ったか知らないが、まさにその通りといえるくらい巨大なゲームマーケットの一部となっておりました。中古ゲームショップのスペースにどんどん現われては徐々にスペースを広げていき、いよいよカードショップとなる店もひとつやふたつではなく、国産TCGも遊戯王、モンスターコレクション、アクエリアンエイジ、ポケモンカードゲーム… と全部に手を出してたらおふくろにゲンコツくらってもおかしくないくらい出ていて、しかも全部売れていた(事実近所の子供は各種デッキを持っていた)のだから、もう完全に一大ホビージャンルとしての地位を確立していた頃でした。
「ゲームって歳でもぉ~」とかいう生意気盛りな高校の雰囲気の中においても、わりとカードゲームやってる層はいて、そんな連中がやってる中にもちろんマジックはあって、「そーいや昔買ったことあるな…」と部屋の奥からひっぱりだしてきて、連中の一人から借りてきたハンドブックみたいなものでルールをひとつひとつ覚えながらカードアルバム(絵はかっこよかったのでファイリングはしていた)をめくるとそこはもう神通鏡をかけた木手英一状態。「こんな面白そうなゲームだったナリかキテレツゥ!!!」とばかりにハマりはじめたわけであります、らっしゃい(ユリオカ超特Qではなくブタゴリラのおやじで)。
それでも当時はやっていた国産TCGにほとんど食指が向かなかったのは、ほかのカードゲームにどこか安っぽさを感じていたところ。たしかに日本人になじみやすい見た目で、読みやすくわかりやすいし、絵もふだんなじみのあるものなのだが、ことこういうゲーム関していえば、重厚でどこか気味の悪いイラスト、わかりにくい文言とシステム、そしてプレイヤーはプレインズウォーカーとやらにお互いがなって、魔法を使って闘うという設定が当時高校の自分にはストライクだったんだろうなあと思います。
※追記:もうひとつの印象を思い立したので追記。今もそういう一面があるが、当時は本当にいろいろなものがTCGになり、そしてあっという間に消えていった。中には気になるものもあったけども、短期間でなくなるものをせっせと買ってもね…マジック以上に仲間いないし。という気持ちがあったのは確か。そしてマジックに対しては「これが無くなるということはTCGが無くなる時だろうな」という印象があった。要するに今後引退して、いつ復帰してもやってる人はいるだろう。ということである。
再燃したその時代は
マスクス・ブロックがはじまったあたり。大型
エキスパンション(マジックは基本的に大型エキスパンションひとつと小型エキスパンションふたつというサイクルで新しいカードが発売される)としては
テンペストからふたつ後。その間の
ウルザ・ブロックというのがなんかえらい
凶悪なことになってたということを知り、おしいことしたなあと思っていたわけですが、マスクスはわりと単色デッキが強めなこともあり、初心者が覚えるには向いていた時代だったかなと今となってはそう思うわけです。
高校生になって行動範囲も広がっていたので、函館中のカードショップをチャリでめぐるようになり、プレイ以上にハマったのが昔のシングルカード集め。パックを買って当てるか友達とばくりっこする(訳:トレードする)しかよさげなカードに会う手段がないと思っていた自分にとって、ショーケースの中でカネさえ出せばどれでもどうぞなこのシステムにシビれたわけであります。自分が偶然引いたレアなカードがいい値段ついてるところを見るのも楽しかった。そして中学当時に気になっていたカードを狙う撃ちできるとあってはたまらない。まだ見ぬ良さげなイラストのカード、雰囲気十分なオールド・エキスパンションのカードをかきあつめる日々が始まったのであります。
高いものは高かったけど、わりと昔のカードでもシングル価格はそれほどではなく、しかもちょっと前のパックでもそんなに高騰もしていなかった。
フォールンエンパイアにいたっては150円だったし、
アングルードは200円という投げ売り状態でよく買ったものです。英語で読めないからいよいよコレクション目的だったけど。
が、インベイジョンが出たあたり、プレーンシフトが発売される少し前にいったんの鎮静化。新しいカードもほとんど買うこともない時期にさしかかります。原因は高校卒業や大学受験とかでほとんど友達同士で集まれなかったこと、大学以降マジック仲間というのもなく熱を保つのが難しかったことだとおもいます。(デュエルスペースいったり大会出りゃいいじゃんと言われそうだが、元来極度の人見知りの自分があの和気藹々としたスペースに飛び込むような勇気なんざあるわけねえ)
そして再度本棚や押し入れの中の「いい思い出」となり、就職し、世間の荒波に負け、と、色々なことがあった社会人2年生の頃、あのニセ和風全開でおなじみの
神河ブロック発売と同時に再々燃することとなります。
さらにつづく